椎名誠の紀行文が好きだ。ほとんど全冊読み尽くしたと思う。シベリア、楼蘭、アマゾン、南米、東南アジア、中東、アフリカ、モンゴル、その他世界中の辺境秘境へ、あるときは怪しい探検隊の面々とともに、あるときは学術調査団の一員として、またあるときは単なる旅人として訪れ、行く先々でただひたすらに飲み食いしている姿が赤裸々に綴られている。
初期の最高傑作として挙げることができるのが『パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り』だ。パタゴニアは、南アメリカ大陸の最南端。チリとアルゼンチンにまたがる乾燥した砂漠地帯だ。チリ海軍のオンボロ軍艦に乗せてもらい、マゼラン海峡を巨大氷山に怯えながら命からがら通過し、コンドルが舞い飛ぶ広大な蒼空の下、パタゴニアの荒野をジープでひた走るという痛快な冒険譚だ。
そんな中で、筆者がもっとも好きなシーンがある。パタゴニアのチリ側、パイネ山の麓の牧場で地元のガウチョ(牧童)たち30人とともに羊の丸焼きを豪快に頬張りながら、バケツのような巨大な瓶から注がれたヴィーノ(赤ワイン)をがぶ飲みするという箇所である。このワインが何なのか、ずーっと気になっていた。チリと言えば“チリ・カベ”の略称で呼ばれるほど、カベルネ・ソーヴィニオンの名産地だ。たしかに肉料理にはぴったりといえる。
ただ、“がぶ飲み”と言うにしては、少々タンニンの渋みがキツすぎて、すいすいと入っていかないような気がする。どうも、“チリ側”という表現にとらわれ過ぎていたようだ。パタゴニアの荒野では国境線などほとんど意識していないし、隣のアルゼンチンはチリの貿易相手国として農林水産物・食品の輸入量第1位の国だ。当然、安価なワインも大量に流通している。そう考えると、椎名誠ががぶ飲みした赤ワインと言うのは、アルゼンチンの国民酒ともいえる「マルベック」ではないかと推測できる。
マルベックは、もともとはフランス南西部原産だが、現在はアルゼンチンでもっとも多く栽培されている赤ワイン用の品種だ。マルベック100%の赤ワインは濃厚な色合いを持ち、むしろ“黒ワイン”と呼びたくなる。アルゼンチンの主産地メンドーサはアンデス山脈東側に位置し標高は1500メートルにも及ぶ。この高標高地で育ったマルベックは、フランスのものよりタンニンがまろやかになるという。しかも果実味豊かでジュースのように飲みやすい。大のビール好きで知られ、何よりも喉越しを重視する椎名誠を唸らせたのは、このワインに違いない。
余談だが、椎名誠は長年に渡り高血圧に悩まされてきたそうだ。上の数値が200を超え、降圧剤が欠かせない状態だったという。ある日、タマネギをスライスして15~30分くらい空気にさらして放置しておくと酵素の力が高まり、血行・血流が良くなり血圧を下げる効果があることを知る。早速実行してみたところ、血圧は徐々に下がり上の数値が100くらいで落ち着くようになり、現在はまったく薬は飲んでいないということだ。
(参照⇒https://blog.goo.ne.jp/publicult/e/8aad594af6aba5995a2fcb4a567fface)
じつは筆者も一年ほど前、病院の検査で上の数値が150を超え、高血圧の傾向があるようなので毎朝血圧を測って記録し、3ヵ月後に持ってくるようにと言われたのだ。血圧計を購入すると同時に、椎名誠のタマネギ健康法も実践してみることにした。その結果、血圧は本当に下がった!上が120台でほぼ安定し、いまでは110台になることもけっこうある。タマネギの偉大なパワーに感謝感激である。
なお、タマネギはそのままでは辛すぎるので、マリネにするのがおすすめだ。ワインにも合う!空気にさえさらせば、熱調理するのも可。ただし水洗いは厳禁。有効成分は水に溶け出すので、タマネギから出た水分もすべて料理に使うのが良い。赤ワインに含まれるポリフェノールには血液サラサラ効果があると言われているし、そこにタマネギを加えれば、もう最強の健康ライフが実現できそうではないか!みなさんのお宅へも、ぜひおすすめしたい。
左 :エル・エステコ シクロス・マルベック(El Esteco Ciclos Malbec)
生産地:アルゼンチン・カルチャキヴァレー
生産者:ラファエル・ミランダ
品 種:マルベック
価格帯:1800円(税抜)~
右 :ドン・ダビ マルベック・レゼルバ(Don David Malbec Reserve)
生産地:アルゼンチン・カルチャキヴァレー
生産者:ボデガ・エル・エステコ
品 種:マルベック
価格帯:1400円(税抜)~