2月下旬、法事のため妻の実家があるオホーツクの小清水町へ行ってきた。途中、北見で一泊したのだが、北見といえばやはり焼肉である。最初、名前がよく知られている「味覚園」へ行こうかと思ったのだが、北見出身のO高さんから、地元民の間で絶大な人気を誇るという超おすすめ店を教えてもらったので、急遽そちらへ変更したのである。
北見焼肉の名店「四条ホルモン」
それは、「四条ホルモン」という店だ。店名に“ホルモン”とあるが、もちろんそれ以外の肉も出している。そもそも、北見焼肉を特徴付けているのは、良質な内臓肉と地元名産のタマネギをベースとした独特の生ダレだ。さらに、七輪を用いた炭火網焼きの遠赤外線効果により、肉の表面はこんがり、内部はジューシーに焼き上がるのだ。
七輪の炭火網焼きで「道産熟成牛サガリ」を焼く
そういう意味で、ここは由緒ある北見焼肉の正統派ともいえる店なのだ。とくにおすすめとメニューにあった、道産熟成牛サガリ、豚ホルモンをまず注文した。地元や近隣地域から仕入れた、一度も冷凍していない生の肉だけあって鮮度はバツグン!それを非加熱の特製生ダレで食べることで、生が生を引き立たせて、もう絶品の味わいなのであった。
ロゼワイン「北実の陽き」
メニューには、ワインもしっかりとあった。目に止まったのは、「北実の陽き(きたみのかがやき)」というロゼだ。北見で収穫されたキャンベルアーリーを一部使い、小樽の北海道ワイン(株)が醸造し、北見酒販協同組合が販売しているものだ。北見産ブドウ100%ではないので、あえて“北実”としているという。せっかくなので、手始めにグラスで一杯だけいただいた。
カリフォルニアワインの「ジンファンデル」
本格的に肉に合わせるワインとして選んだのは、カリフォルニアのジンファンデルだ。この品種を置いているとは、さすがわかっている!としか言いようがない。以前に<vol.50>でも紹介したが、ステーキ大好きなアメリカ人がもっとも好む濃厚な赤ワインだ。いや、赤というより“黒”に近い。こぼれた滴を拭いてみると、黒っぽい濃い染みが出来るほどだ。牛サガリや牛カルビとの相性は、もうこの上ないほどの極上の味わいであった。
ところで北海道にはいま、新しいワイナリーが続々と誕生しているが、北見も例外ではない。しかも、黒毛和牛農家が経営する全国唯一のワイナリーがあるという。これこそ、焼肉の街・北見にふさわしい絶妙な取り合わせではないだろうか。ということで、大きな期待を抱きつつ帰りに寄ってみたのである。
それは、北見市端野町で2019年(令和元年)からワイン造りを開始した「インフィールドワイナリー」だ。運営しているのは、北見和牛の生産農家である「未来ファーム」だ。極寒の地であるオホーツク地方で初のワイナリーとして注目されていたが、すでに出荷を開始し、現在は2021年ヴィンテージが販売されている。
雪原の中に建つ「インフィールドワイナリー」醸造所
訪れたのが真冬だったこともあり、ブドウ畑は完全に雪に埋もれていた。醸造所の建物が雪原の中の一軒家のような佇まいを見せており、巻末に挙げたボトルのラベルに描かれたイラストそのままの、まるで絵のような風景が広がっていた。収穫量が少ないため自社畑100%で造られた品種は限られるそうだが、その中の希少な一本「山幸」を購入した。
“山幸”と言えば、十勝の池田町ブドウ・ブドウ酒研究所が独自に開発したヤマブドウ由来の品種であり、十勝ワインの看板ブランドにもなっている赤ワインだ。耐寒性交配品種であるため、十勝や北見のような寒い地域でも育てることが出来るのだ。日照量が豊富で寒暖差の大きい北見のテロワールが、ワインにどのように反映されているか期待が膨らむ。
合わせる料理は、やはり“肉”であろう。牛肉はもちろん、鹿肉のジビエなど野性味あふれるものもおすすめだそうだ。普段はあまり、ガツンと来るような重厚な肉は食べないのだが、そのときのためにしばらく寝かせておくのも楽しみというものだ。今回の北見は、焼肉とワインにまつわる、何かと収穫の多い旅であったのだ。
山幸2021(Yamasachi 2021)
生産地:北海道北見市端野町
生産者:インフィールドワイナリー
品 種:山幸
価格帯:3300円(税込)~