BSテレ東で放送中の「辰巳琢郎の葡萄酒浪漫(ワインロマン)」という番組がある。その中で、辰巳琢郎がいつも旨そうにポッキーをつまみながら赤ワインを飲むシーンが登場する。あまりにも旨そうにワインと合わせているので、果たしてそんなに合うものなのだろうかと、筆者も試してみることにしたのである。
グリコ・ポッキー「女神のルビー」と「カカオ60%」
「ポッキー」とは、江崎グリコが1966年(昭和41年)から販売しているチョコレート菓子だ。その数年前にドイツの“プレッツェル”をヒントに開発した「プリッツ」にチョコレートをコーティングしたもので、“世界初の棒状チョコレート菓子”として60年近くに渡り超ロングセラーを続けている。
商品名の「ポッキー」は、食べるときの「ポッキン、ポッキン」という擬音にちなみ名付けられた。1970年(昭和45年)以降、広く海外でも販売を続けており、その数は世界30カ国以上にも及ぶ。米国や台湾、シンガポールでは日本と同じ「Pocky」で、中国では「百奇(バイチー)」、マレーシアなどのイスラム圏では食べることが禁じられている【pork】(豚肉)を連想させないよう「Rocky」(ロッキー)の名で販売されている。
また、フランスなどヨーロッパの国々では「MIKADO」(ミカド)という名で販売されている。向こうでは、竹ひご棒を使った「MIKADO」というゲームが人気であり、ポッキーの形状が似ていることから、そう名付けられたという。そもそも、“ミカド”(帝)とは日本の天皇のことだ。なぜ、このゲームがMIKADOと呼ばれるようになったかについては、猪瀬直樹『ミカドの肖像』でも詳しく述べられている。
ポッキーをここまで世界商品に成長させたのは、手軽なスティック型チョコレート菓子であるということだけではなく、あの独特の“持ち手”の存在だ。つまり、約2~3センチほどのチョコレートが塗られていない部分である。これがあることで、溶けやすいチョコレートに直接触れることなく“手を汚さず”に食べることが出来るのだ。
じつは開発段階では、全面チョコレートコーティングにして一本ずつ銀紙で包むことも考えていたらしい。しかし、どうしてもコストがかかってしまう。そこで閃いたのが、大阪・通天閣名物の「串カツ」をヒントにした形状だったという。このあたりの発想が、さすがは同じく大阪発祥の企業である江崎グリコらしいところであると感心してしまう。
大阪・道頓堀のランドマーク「グリコサイン」
グリコといえば、かつて「グリコ一粒300メートル」という、一世を風靡したキャッチコピーがあった。これは創業まもない1922年(大正11年)に発売された「栄養菓子グリコ」というキャラメルに使われたもので、成人男子が300メートル走るのに必要なカロリー(16.5kcal)が一粒に含まれていることを意味する。当時のパッケージを用いたサインボードは道頓堀のランドマークにもなっており、いかにグリコが大阪とともにある企業であるかを象徴していると言えよう。
ポッキーは、通常のチョコレート味だけではなく、イチゴ味やアーモンド味はじめ、瀬戸内伊予柑、夕張メロン、宇治抹茶など、ご当地味の地元ポッキーなど20種類以上のラインナップが揃っている。今回、ワインとのペアリングに選んだのは、「女神のルージュ」(冒頭写真左)という赤ワイン専用に開発された高級タイプと、辰巳琢郎が番組の中でよく食べている「カカオ60%」(写真中央)という2つだ。
結論から言うと、どちらも赤ワインとの相性は抜群である。なぜなら、チョコレートがまず、合うのだ。チョコレートには赤ワインと同じく多量のポリフェノールが含まれており、これらが出合うことでお互いのコクを深める効果をもたらす。さらに、棒の部分のプリッツだが、原料は小麦粉である。小麦粉は、パンやパスタの原料でもあり、ワインとの相性は言うまでもない。となると、これはもう、相性が良くて当然のペアリングなのだ。
2つのポッキーであるが、筆者としては高級志向の「女神のルージュ」(一箱1000円・6袋入)よりも、「カカオ60%」(一箱200円・2袋入)のほうがイケると感じた。とくに、下記に挙げたスパイス感やや強めのテンプラニーリョと合わせたとき、カカオ多めのビターな味わいが素晴らしく、絶妙な相性!であった。なるほど、辰巳琢郎が好んで合わせているはずである。
ところで、今回初めて知ったのだが、11月11日は「ポッキー&プリッツの日」と呼ばれているらしい。平成11年11月11日に、スティック菓子に似た「1」が6個も並ぶおめでたい日であることから認定され、今年で25年目になるという。今回は試さなかったが、プリッツのサラダ味などは、おそらく白ワインとも合うような気がする。来る11月11日には、赤・白ワインを取り揃えて、ポッキー&プリッツとのペアリングを、ぜひ、お楽しみいただきたいものである。
アルトザーノ・テンプラニーリョ(Altozano Tempranillo)
生産地:スペイン ラ・マンチャ地方
生産者:フィンカ・コンスタンソア
品 種:テンプラニーリョ
価格帯:1200円(税抜)~