<vol.58> カルパッチョとワイン

魚介を美味しく食べる料理として、カルパッチョがある。タイ、ヒラメ、カツオ、マグロ、タコ、イカ、ホタテ、サーモンなどにオリーブオイルとレモン汁、ニンニクなどを混ぜたソースをかけたイタリア料理だ。カツオのカルパッチョについては、以前に<vol.12>でも少しだけふれたが、今回は夏向けの料理としておすすめのワインとともに紹介したい。

タイのカルパッチョ

カルパッチョに合うワインは、マグロやカツオなど赤身系のサカナやイカ、タコなら赤のピノ・ノワールが合う。白身系のサカナや貝類なら、爽やかな果実味が感じられる白が良いだろう。ところで、本国のイタリアでは生の牛ヒレ薄切り肉にチーズやソースをかけたものを「カルパッチョ」と言う。魚介を使ったものは、1980年代に日本のイタリア料理店で生まれたものだそうだ。

そもそも“カルパッチョ”とは、人の名前なのだ。ルネサンスの画家ヴィットーレ・カルパッチョにちなみ名付けられたものだそうだ。そういえば、ほぼ同時期に「カラヴァッジョ」という画家もいた。どうもこのような語感の名前は、イタリア人に多いようだ。このカルパッチョが、生牛肉にパルミジャーノ・レッジャーノをかけた料理を好んだからとも、赤色を基調とした彼の画風が、皿に並べられた生牛肉の色によく似ていたからとも、さまざまに伝えられている。

ヴィットーレ・カルパッチョの「聖パウロ」

ただ、近年の研究では、1963年にヴェネチアで開催された「カルパッチョ生誕500年回顧展」の期間中に、現地のレストランで考案された比較的新しい創作料理であるという説が有力だ。創作料理という意味では、日本生まれの魚介のカルパッチョも、本家のものから進化させた、よりヘルシーな創作料理だと言える。世界的な日本食ブーム・刺身ブームの高まりにより、現在はイタリアでもシーフードのカルパッチョが普通に出されているそうだ。

ところで昨年夏、中国が日本産水産物の輸入停止を発表して以来、北海道産のホタテが販路を失い、スーパーなどに安く大量に出回るようになった。おかげで、新鮮なホタテのカルパッチョをたっぷりと食べることが出来ている。ホタテには、さまざまなミネラルが含まれている。ミネラルというと、“海のミルク”と呼ばれるカキが思い浮かぶが、ホタテにもカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など、カキと同種類のものが豊富に含まれているのだ。

ホタテのカルパッチョ

ホタテのカルパッチョには、イタリア・アブルッツォ州の土着品種「ペコリーノ」を使った白ワインをおすすめしたい。この品種の特徴は、豊かな果実味の中にミネラルの要素が感じられることだ。下記に挙げた一本は、石灰質が含まれる畑で育てられたオーガニック栽培のブドウを使用しており、ホタテのミネラル感との相性も抜群だ。夏は、汗とともに体内のミネラル分も流出しやすい季節。よく冷やしたペコリーノとホタテのカルパッチョで、暑い夏を乗り切りたいものである。

バローネ・コルナッキア カサノヴァ ペコリーノ コントログェッラ
(Barone Cornacchia Casanova Pecorino Controguerra)
生産地:イタリア・アブルッツォ州
生産者:バローネ・コルナッキア
品 種:ペコリーノ
価格帯:1500円(税抜)~

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