<vol.56> アスパラとワイン

5月中旬、浦臼町出身の友人・Y田さんからグリーンアスパラをいただいた。その数日後、小清水町の妻の実家で農業を営む弟夫婦からもグリーンアスパラが送られてきた。御礼を申し上げたところ、奥さんのA子さんからさらに追加で一箱が送られてきた。そういう訳で、この1ヵ月くらいはアスパラ三昧の日々を送らせていただいたのである。

グリーンアスパラとベーコンのバター炒め

筆者がいちばん好きなのは、グリーンアスパラとベーコンのバター炒めである。アスパラを切って塩胡椒を振りベーコンと炒め、火を止める直前に風味付けに醤油を回しかける。アスパラにベーコンを巻いて爪楊枝で刺すパターンもあるが、面倒なのでそのままシンプルに炒めるだけで十分である。

グリーンアスパラの豚肉巻き

アスパラに巻き付けるなら、むしろ“豚肉巻き”がおすすめだ。肉がほどよく密着するので、爪楊枝を使わなくても出来るので簡単だ。合わせるワインは、この2つに関しては赤のサンジョベーゼかピノ・ノワールあたりがバランスよくマッチする。

グリーンアスパラの天ぷら

アスパラそのものの味をしっかりと味わいたいなら、軽く茹でてマヨネーズを付けるか、天ぷらにするのが良いだろう。この場合のワインは、白のソーヴィニョン・ブランがおすすめだ。巻末に1本挙げておいたが、この品種はフレッシュな果実味に加え、青草のような清々しい風味も感じられるので、グリーンアスパラの緑の風味をいっそう引き立ててくれるのだ。

グリーンアスパラとサバの香草トマト・チーズ焼き

さらにもう一品、簡単で美味しく出来るのが、<vol.55>でも紹介したオーブンを使った料理だ。耐熱容器にサバの水煮缶とアスパラを入れ、オリーブオイルと香草パン粉をかけてチーズとトマトを乗せ、200℃のオーブンで20分間焼き上げる。アスパラとサバとは一見意外な組み合わせだが、じつは好相性なのだ。合わせるワインは、上記の白でも赤でもどちらでもイケる。

ところで、アスパラとはかつて“ホワイト”のことだった。というよりも、“グリーンアスパラ”なるものは、世の中に出回っていなかった。しかも、ホワイトアスパラにしても缶詰としてであり、“生”を見かけることなどほとんどなかったと言える。それがいつのまにか、春から初夏にかけてスーパーの店頭には、グリーンアスパラが山積みされるようになり、誰もが気軽に食べられるようになったのだ。これはいったい、どうしてなのだろうか?

そもそも、国内でのアスパラ栽培は1922年(大正11年)、北海道の岩内町で始まった。冷害に強い作物として試作され、本格的な栽培は輸出用のホワイトアスパラ缶詰に用いるためである。戦後になってようやく国内でも手に入るようにはなったが、サラダなどに少量添えられている程度の“高級食材”としての位置づけだった。

ちなみに、ホワイトもグリーンも栽培方法の違いだけで、土寄せして日光に当てずに育てたものが白色になり、普通に日光に当てたものが緑色になるのだ。輸出用にホワイトが栽培されたのは、フランス、オーストリア、オランダ、ドイツなどの欧州諸国がホワイトを好んだからである。グリーンは青臭さが嫌われ、これらの国では現在でもほとんど食べられていないという。

日本でもしばらくはホワイトが主流だったが、1970年代に転機が訪れる。中国産の安価なホワイトアスパラ缶詰が海外市場に出回り始め、日本産が徐々に売れなくなってきていたのだ。そんな中で巻き起こったのが、健康志向の高まりを反映した“緑黄色野菜ブーム”である。カゴメが野菜ジュースを発売したのもちょうどこの頃で、1973年(昭和48年)のことだ。

岩内の栽培農家が、このブームに飛びついた。“土寄せ”などという面倒なことはせず、そのまま育てればアスパラ自らが緑黄色野菜になってくれるのだ。手間がかからない分、当然コストもかからず安く販売出来る。このようにして、国内ではグリーンが主流となり、欧州で嫌われた“青臭さ”は、むしろ健康的な緑黄色野菜の風味として受容されたのである。そういう意味でも、ソーヴィニョン・ブランの清々しい青草の風味が合うこと間違いなし。ぜひ、お試しをおすすめしたい。

KWVクラシック・コレクション ソーヴィニョン・ブラン
(KWV Classic Collection Sauvignon Blanc)
生産地:南アフリカ・西ケープ州
生産者:KWV(南アフリカ・ブドウ栽培協同組合)
品 種:ソーヴィニョン・ブラン
価格帯:1200円(税抜)~

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