<vol.5> 海のワインと緑のワイン

当ブログの読者の方から、いつも赤ワインばかりの紹介だが、白はやらないのか?というメッセージをいただいた。じつは、筆者が飲むのは9割方は赤、白は1割程度である。白の基本3品種といえば、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニオン・ブランを指すのが一般的だ。ただ、季節は春から初夏へ向かう今日この頃である。今回は、それ以外の品種の中から爽やかな気候の始まりにふさわしい2本を紹介したいと思う。

“海のワイン”と呼ばれるワインがある。スペインの北西部、大西洋に面したガリシア地方リアス・バイシャス地区で栽培される「アルバリーニョ」という土着品種から造られる白ワインだ。「リアス」とはリアス式海岸の語源にもなっており、この一帯全体は入り組んだ海岸線で構成されている。潮風をたっぷり浴びながら育つことで、フレッシュな酸味とミネラル分を多く含むワインとなり、ほんのりと塩味らしきものも感じるという。

ただ、塩味といってもいかにも塩っぱいというほどではなく“言われてみればそんな気もする”といった程度である。スペイン・ポルトガルといえば、アヒージョやパエリア、バカリャウなど魚介料理の宝庫だが、さすがに海に縁あるもの同士、アルバリーニョがじつによく合う!もちろん、日本の刺身や焼き魚にだってベストマッチである。

アルバリーニョは長い間、ガリシア地方とポルトガルの一部でしか栽培されてこなかったが、そこは日本も同じ海産国。魚介類に合うと聞けば、放っておく手はない。日本国内でも2005年から新潟地方で栽培が始まっているのだ。新潟市の南西部、角田浜、越前浜の通称“新潟ワインコースト”と呼ばれる一帯は砂のような独特の土壌で水はけが良く、降水量もリアス・バイシャスとほぼ同程度。もうすでに、アルバリーニョから造られた高品質の白ワインが続々と誕生しているという。

“緑のワイン”と呼ばれるワインもある。ポルトガル北西部のミーニョ地方で造られる「Vinho Verde(ヴィーニョ・ヴェルデ)」という名の微発泡性白ワインだ。【Vinho】は「ワイン」、【Verde】は「緑」の意味で、文字通り「緑のワイン」。と言っても、ワインが緑色をしている訳ではない。この場合の「緑」は「若い」というニュアンスで解釈したほうが良さそうだ。

“若い”というのは、完熟していないブドウから造られることに由来する。通常のワインはブドウが完熟するのを待って収穫するが、ヴィーニョ・ヴェルデは完熟手前のものを使用する。それにより比較的アルコール度数が低く、10%前後となる。また発酵途中で発生する気泡がワインに残ることで微発泡性となり、強すぎない炭酸がフレッシュな爽やかさを演出してくれる。品種も1種類に限定されず、ロウレイロ主体のもの、アリントやアルバリーニョ主体のものなど、さまざまな土着品種を用いたものがある。

筆者がいま気に入っているのは、ミーニョ地方でもっとも内陸部に位置するバシュト地区で造られる「RAZA(ハーザ)」というヴィーニョ・ヴェルデだ。海風の影響をあまり受けない地域なので、爽やかさだけではなく熟成感も兼ね備えた絶妙な味わいとなる。赤ワインの前の喉を潤す一杯として、ナッツなどをつまみながら飲むと最高だ。海のワインと緑のワイン、これからの季節にぴったりの2本はいかがだろうか。

右  :アルバ・ヴェガ・アルバリーニョ(Alba Vega Albarino)                      生産地:スペイン・ガリシア地方リアス・バイシャス                                生産者:アルバ・ヴェガ                                        品 種:アルバリーニョ                                        価格帯:1600円(税抜)~

左  :ヴィーニョ・ヴェルデ・ハーザ・ブランコ(Vinho Verde Raza Branco)                 生産地:ポルトガル・ミーニョ地方バシュト                                 生産者:キンタ・ダ・ハーザ                                                      品 種:アリント主体                                                         価格帯:1400円(税抜)~

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