先日、同じ町内会のW邊さんから山梨県土産のワインをいただいた。日本ワインの先駆けとして知られ、120年を超える歴史を持つ蒼龍葡萄酒(株)の赤と白の2本。赤は「マスカット・ベーリーA」、白は「甲州」、どちらも日本ワインを代表する日本の固有品種だ。
マスカット・ベーリーAは1927年(昭和2年)、新潟県上越市において「岩の原葡萄園」の創設者である川上善兵衛によって開発された。米国系の品種「ベーリー」と欧州系の品種「マスカット・ハンブルグ」の交雑育種であり、醸造用としてだけではなく、生食用としても広く出回っているお馴染みの黒ブドウである。
ちなみに、ワイン業界ではマスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)を略してMBAと表記することが多い。“MBA”といえば、筆者が以前勤めていた会社の後輩・I内君が社会人大学院で取得を目指している「Master of Business Administration=経営学修士」を指すのが一般的だ。ワインのMBAはあくまでも業界用語ではあるが、フルネームで書くと長いので、以下この略称で表記することとしたい。
さて、このMBAであるが、生食用ブドウを使っているだけあって、甘いのが特徴だ。渋みは少なく、ブドウの果実味というか、イチゴキャンディーのような甘さがある。ペアリングブックによると、甘みを加えた醤油味の和食が合うとのことだ。となると、まず思い浮かぶのは「そばつゆ」である。<vol.20>でも「蕎麦屋でワイン」として紹介したが、これは正解であった。
鯖の味噌煮
さらに、「肉じゃが」や「タレ味の焼き鳥」などがお勧めとされているが、もっとも相性が良いのは「鯖の味噌煮」とあった。早速試してみたところ、たしかに合う!醤油味ではないが、出汁の効いた味噌味の濃厚な甘さがMBAの甘さと見事に共鳴して、じつに素晴らしい。“和食にもっとも合うワインはピノ・ノワールである”というのは筆者の持論だが、鯖の味噌煮に関しては、MBAに譲ることとしたい。
もう一本の甲州であるが、こちらも醸造用だけではなく生食用として古くから親しまれている白ブドウだ。MBAとは逆に、繊細でさっぱりとした“辛口”である。香りも強くないので、どんな料理の持ち味も邪魔しない。ビールで例えれば、アサヒの「スーパードライ」といったところだろうか。むしろ、そのまま飲んでも十分に美味しいといえる。
たまたまアーモンドがあったので、これをつまみにチビチビ飲ってみたら、なかなか良い感じであった。合わせる料理は和食のさっぱりしたもの、「タケノコの木の芽和え」や「土佐煮」「若竹煮」など、旬のタケノコ料理がおすすめとあったが、これは旬の時期(春~初夏)が来たら試すとして、今後の継続課題としたい。
ところで、本物のMBAを目指しているI内君が所属しているのは、日本総研会長としても知られる、あの寺島実郎先生のゼミだという。9月より秋学期がスタートし、仕事を兼ねながら大学院の講義と課題提出に日々追われる超多忙な日々を送っているそうだ。見事にMBAを取得した暁には、お祝いにワインのMBAをぜひ進呈したいものだと思っている。
右 :グラン ベーリーA(Grand Bailey A)
生産地:山梨県甲州市勝沼町
生産者:蒼龍葡萄酒
品 種:マスカット・ベーリーA
価格帯:1500円(税抜)~
左 :グラン甲州(Grand Kosyu)
生産地:山梨県甲州市勝沼町
生産者:蒼龍葡萄酒
品 種:甲州
価格帯:1500円(税抜)~