クレジットカードのポイントが溜ったので、ささやかな贅沢として浜名湖近辺の“国産鰻”を取り寄せることにした。せっかくなので「蒲焼き」だけではなく、「白焼き」も一緒に注文した。鰻は世界中で食べられているが、“蒲焼き”で食べるのは日本くらいのもので少数派らしい。蒲焼きはもちろん美味しいが、白焼きのほうが鰻そのもの味をしっかり感じることが出来る。合わせるワインは、オーガニックのピノ・ノワールがおすすめだ。
鰻の蒲焼き(手前)と白焼き(奥)
筆者が“白焼き”というものを初めて知ったのは、10年ほど前、仕事の転勤で東京都北区赤羽に住んでいた頃だ。東京で「赤羽に住んでます」と言うと、「お、赤羽ですかぁ・・・ふふ」と、なぜかニヤッとされることが多い。理由はよくわからないが、“呑兵衛の聖地”と呼ばれるほど渋い飲み屋が多いことと、さらに当時、地元で大人気だった実録漫画、清野とおる『ウヒョ!東京都北区赤羽』の影響らしい。
赤羽では、なぜか突然、マイケル・ジャクソンが現われたり(本当です)、不思議なことがときどき起こる(らしい)。この漫画では、作者が遭遇した摩訶不思議な出来事や、そこに暮らす個性的すぎる人々との日々が赤裸々に描かれている。2015年(平成27年)には、漫画に感銘を受けた俳優の山田孝之が、見失いかけた自分を取り戻すため赤羽に住むというドキュメンタリードラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」もテレビ東京で放映されている。
その赤羽の飲み屋街の一角に、いつも行列を作っている店がある。「鯉とうなぎのまるます家 総本店」だ。テレビ東京「孤独のグルメ」でも紹介された超人気店で、いつかは行ってみたいと思ってはいたものの、つねに満席状態。なかなか入れずにいたが、ある日奇蹟的に入店出来たのだ。店内は居酒屋のお手本とも言うべき、「コの字」カウンターを2台つなげた「弓」の字に似た独特のスタイル。泥酔防止のためか、「酒類は一人3本まで!」と大きく張り紙されていた。
メニューには「うなぎの白焼き」とあった。蒲焼き以外の食べ方があることを、その日初めて知った。蒲焼きの濃い目の味は、やはり「鰻重」にしてご飯と一緒に食べて味が引き立つ。白焼きは別名「うなわさ」であり、わさび醤油で食べると酒のつまみにちょうど良い。カウンターの向こう側にグラスで赤黒い液体を飲んでいる人がいたので、「お、グラスワインがあるのか」と思い店員に聞いてみると、「あれは、スッポンの生き血だ」とのこと。さすがに、白焼きには合いそうにない。
ワインはボトルのみでグラス売りはないそうなので、レモンサワーを注文した。これは、ある意味で正解だった。白焼きには柑橘系の酸味が、じつに良くに合うのだ。今回取り寄せた白焼きにも「岩塩」が付いてきており、柚子か酢橘、もしくはレモンを搾って付けると良いとあった。ワインは、蒲焼きは文句なく赤のピノ・ノワールだが、白焼きにはわさび醤油なら同じくピノ、岩塩の場合は<vol.5>でも紹介した白のアルバリーニョもおすすめ出来そうだ。
ところで、世界にはさまざまな鰻料理がある。イギリスでは「鰻の煮こごり」のようなゼリー寄せ、フランスでは「マトロット」という鰻の赤ワイン煮込みや「鰻パイ」、スペインでは鰻の稚魚を使った「アヒージョ」、イタリアでは「鰻のトマト煮込み」や「マリネ」、ドイツや北欧の国では鰻を燻製にするという。その他、フライや唐揚げにして食べる国もあるなど、たしかに“蒲焼き”が少数派なのは納得がいく。
いま気になっているのは、<vol.20>でも書いたが、オリーブオイルとバジル、レモンを合わせた“鉄板イタリアンソース”を白焼きに合わせてみることだ。となると、この場合の赤ワインは、やはりサンジョベーゼがベストかな、と次の機会に向けて画策しているところである。
オーレゼルヴァ(O Reserva Pinot Noir)
生産地:チリ・ビオビオヴァレー
生産者:ヴィニェードス・エミリアーナ
品 種:ピノ・ノワール
価格帯:1000円(税抜)~
※オーレゼルヴァは、イオンが直輸入するオーガニックワイン。